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恐ろしいと震える君を、ありったけの微笑みで迎えましょう。








聖マリアは消えてしまった








「ねぇ、信じられるかい?」
「何、アローン」
「僕が絵に描いたものは、命あるものは何でも死んでしまうんだ」
アローンは野原にイーゼルを置いてキャンパスに向かっていたから、私には背を向けているような格好だった。
つまり、彼には私の顔が見えないということ。
私は心底驚いた。
ゝゝゝゝ ゝゝゝゝゝゝゝゝ
どうして、今更そんなことを?
「何を云っているの、アローン?」
「ふふ、そうだよね。普通、信じられないよね」
手に持ったままの絵筆を動かさず、アローンは項垂れたように自嘲した。
けれど私にはなぜかわからない。
ゝゝゝゝゝゝゝゝ
だって当然なのに。
「ねぇアローン。意味がわからないわ」
「いいんだ、ごめんよ。おかしなことを云ったね」
「違うわアローン、そうじゃなくて、」
「いいんだ。気にしないで、忘れておくれ」
そう云うと、アローンは肩越しに私を見やり、困ったように笑った。
やっぱり私にはわからない。どうしてアローンはこんなことを云い出したのだろう。しかも、今更になって。
けれど、アローンは恐れているようだった。
どうして?
ゝゝゝゝゝゝゝ
素敵な力なのに。
再びキャンパスに向き直り、ゆるゆると絵筆を動かし始めたアローンの背中を眺める。
細くて優しい肩、とてもきれいな人。
私はアローンが好きだ。彼の何もかも、すべてが好きだ。
私はそっとアローンに近付くと、背中から彼を抱き締めた。
「、どうしたんだい……?」
「ねぇ、アローン?」
彼が恐れるのならば、私は彼を安心させてあげなければならない。
それは私の義務だった。
傍に居る私の、最大の義務だった。
「私を描いて頂戴」
耳元で囁くと、アローンは驚いたように振り返った。その眼は酷く驚いていて、何を云い出すのかと揺れていた。
構わずに続ける。
「大丈夫。貴方の絵は人々を救う絵なのよ?恐れることなんて、何もない」
アローンは穴があくほどまじまじと私を見た。
その視線を受けて、私はゆったりと微笑むのだ。
安心していいのだと。
恐れることなどないのだと。
「アローン。貴方は、神なのだから」







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まさかの聖闘士ヽ(^O^)/
ロスキャン大好き。このサイトで需要がないのは知っている(ちょ)