衝撃的




だから嫌だったんだ、保健委員なんて。

歴代不運な子が入るんだよ、なんて最初に云う先生も悪い。そんなこと云われて入りたがる子なんているはずもなくて、結局じゃんけんになった。自慢じゃないけどじゃんけんは弱い。そしてやっぱり案の定僕はぐーの四人に一発で一人負けして、保健委員になってしまったわけだ。

不安に泣きそうになりそうになりながら初めての委員会に行く途中、たまたま腐っていた床を踏み抜いて怪我をした。よろよろと立ち上がり、それでも委員会に向かおうとすると、今度は何故か落ちていた紙を踏んで滑って転んだ。なんだこれ。
そのとき悟った。保健委員になる子が不運なんじゃない、保健委員になると不運になるに違いないのだ、と。
ちきしょう次は絶対他の委員会に入ってやる、と心に誓いながら、漸く医務室に辿り着いた。なかば自棄になりつつ、失礼します、と医務室をあけると。

「お、いらっしゃーい。君が新しい保健委員かな?」

扉をあければそこにいたのはくのたまで、恐らく先輩。僕は固まってしまった。
「ああ、ごめんね、今委員長は外出中なの。他のみんなは掃除当番で、私は留守番の三年のです」
よろしくね、と微笑む先輩は、僕の不安を吹き飛ばしてくれるくらい眩しかった。
君は?と首を傾げた先輩に、ハッとして慌てて自己紹介をした。
「一年は組の、善法寺、です」
「下の名前は?」
「い、伊作、です」
「伊作くんか」
「はいっ」
「うふふ、そんなに緊張しなくていいんだよ?」
「あっ、えと、はい」
「あは、可愛いなぁ」
顔が熱くて仕方なかった。まともに先輩の顔を見ていられなくて、明後日の方向を見ることに徹した。
すると、伊作くん、と先輩の優しい声で呼ばれて、思わず先輩のことを見て。

「ようこそ、保健委員会へ!」





(先輩がいるなら保健委員も悪くないだなんて)

(ああ、でも!)

(毎日先輩に会えるなら、)










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不運小僧の幸運