いつも不安でたまらない。
素直になれない私を、あなたがいつまで好きでいてくれるかわからなくて不安になるの。


(だったら素直になったらいいのに)


そうはいっても簡単になれるものじゃない。
第一簡単にそうなれるなら私は今苦労なんてしてはいないだろう。
いつだってその事実は私に肩を落とさせる。虚しかった。






ほんとはね、







「なによ」

「……名前呼んだだけで何で怒るんだ…」

「鬱陶しいから」





嘘だよ。
本当はあなたの声が私を呼ぶだけで胸が高鳴るのに、私というやつは。
ツンと顔を背けたのは、まともにあなたの顔をみていたら体中から"好き"が溢れてしまいそうでこわかったから。

ねえ、気付いて?
これは私の我が儘だけど、どうか気付いてちょうだい。
私はあなたが好きで好きでたまらない。
言葉になんてしたら安っぽくなってしまいそうだから云わないけれど、私はあなたが好きなのよ。





「……京、」

「うん?」

「……やっぱ、なんでもない」

「なんだ、それ」





手を伸ばせばすぐに届くほど傍にいてくれるのに、手を伸ばすことができないのは私だった。
差し伸べてくれる手を取らなかったのも私だ。
ただ物欲しそうに手をみていたから、あなたは怒りもしないで手を差し伸べ続けてくれていた。
私はあなたの優しさに甘えすぎていた。

これじゃ、だめ、なのに。





「、京、」

「どうした?」

「……あのさ、」





ほんとはね

(傍にいてほしいのはあなただけなの)



そう云ったら、抱き締めてくれる?










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村雲さんて、絶対腹黒いと思うんだ。


20100401 再録