「・・・・・・お前、何、してんだよ・・・」

「、デビ、ト」

「ッ、何してんだよ・・・・・・!」

の周りは真っ赤に染まっていた。本来真っ白だったテーブルと、明るいブラウンだった絨毯は見る影もない。真っ赤に染め上げられていた。鉄錆の臭いが鼻孔を吐く。気分が悪かった。
ゲホッとが咳込んだ。口元は抑えていたものの、そんなもの意味はなく、指の間からぼたぼたと真っ赤なものが滴った。血、だった。

「、ごめ・・・風邪引いた」

「風邪引いて咳込んで血ィ吐くかよ!!」

「こじらせた・・・・・・」

苛々する。嘘なんか下手くそなくせに、嘘なんか意味ないことに気付いてるくせに、それでも隠そうとするこいつに。それから、苛々しても何も出来ない自分に。
一体いつからだ。いつからこいつはこんなことになってた。
いくら頻繁に会っていたわけでなくとも、なんで僕は気付いてやれなかった。
ゴホ、と息を詰まらせた。
びしゃ、と吐き出した赤いものが飛び散った。
ゼイヒュウとの喘鳴が聞こえる。
デビット、と、掠れる声で僕を呼んだ。
何故か僕は返事をしてやれなくて、ただ喉がカラカラと乾いた感覚だけがあった。
胸と喉元を押さえたは、辺りを真っ赤に染めながら笑ったのだ。場違いにもほどがある。
なのに。

「デビットは、赤が好き?」






その血は酷く鮮やかで





(狂っていたのは僕か)
(狂ったのはお前か)











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お前の赤は何より綺麗だよ


20110210