好きだよ。

 彼は噛みしめるようにもう一度呟いた。好きだよ。
 なんて狡いのだろう、そんな優しい顔で優しい声で優しく優しく云うものだから、私は別れを告げるタイミングを悉く見失ってしまう。
 告げられなくなってしまう。






狡い言葉





『ねぇ、最近忙しいね』

『そうだね、まぁこの時期だから仕方がないよ』

『配達屋さんて大変だよね』

『まぁでも、楽しいから』

『そっか』

『うん』

『ねぇ、佐古田くん』

『何?』

『あのね、その、』

『どうしたの』

『だからね、ちょっと、その』

『あはは、俺、ちゃんのそういうとこ、好きだよ』

『、』

『好きだよ』



(ああやはり貴方は狡い、いつも優しくて)

(きっと気付いているのね、だからそうして私を遮る)

(貴方は優しいから)

(優しいから)










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自己満です・・・佐古ちんが一番すきです^^
げっちゅーまごころ便、面白いので是非読んでもらいたい・・・!


20100401 再録