なんて馬鹿なのだろうと思った。


「俺たちは幕府に拾われた」


本当に救いようがないと思った。


「俺たちには刀しかないから」


もとを正せば刀を奪ったのは幕府だろうに。
幕府が天人などに屈しなければあたしたちは刀を手離すことはなかった。


「真選組の剣は」


なのに。


「幕府を護るためにあるのさ」


この人が、あまりに汚れなく真っ直ぐだから。


「幕府を護るために、俺たちは刀を振るうんだ」


馬鹿だと思った。真実をみないで恩を返すだなんて、救いようのない馬鹿だと。思っていた。

だけど馬鹿なのはあたしの方だったのだ。


「なら」


だって。



「あたしは、幕府を護る真選組を護るために」



ほら、馬鹿なあなたに侵食されてしまった。



「戦います」






今度は間違わない










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幕府が倒れようがどうなろうがしったこっちゃない。
だけど、何があってもあたしは護るよ。

あなたのために、真選組を。


20100401 再録