『好きだよ』


 なんて云われたら、わたしは、壊れた人形のように動けなくなってしまうとゆうのに。あなたは。






締めつけの刑





 たった四文字。たったそれだけ。添えられた笑顔はまぁ、そりゃあ、魅力的だけれど。
 たった四文字の言葉に締めつけられてしまうわたしは何なの!

 理不尽な文句に怒りもしないで笑って手を差し伸べるあなたを、こんなに憎いと思ったことはない。


 好 き だ よ


 ねぇだってそれだけなのよ、たった四文字だけの言葉なのよ、なのに一体どうしてこんなにも。

 もしかして呪文なのかしら。それだけの短すぎる言葉は、わたしを締めつけるための呪文なの?
 ああまるで魔法のようね。

 エクソシスト、神の使徒だなんて嘘だわ、きっとあなたは魔法使い。


 好 き だ よ


 わたしを締めつけるその言葉を、今日もあなたは囁くの。

 痛い痛いイタイイタイいたいいたい、


     い た い


 心が悲鳴をあげる。
 あなたの笑顔が私に向くたびに。
 あなたが呪文を唱えるたびに。

 だけどこの悲鳴を聞きつける人などいるはずがなくて、(そりゃそうだわ、だって声になんて出していないもの)、わたしは今日も締めつけられる。

 胸が締めつけられる。


『好きだよ』


 それは魔法の呪文。

 わたしを締めつける言葉。



 ねぇ、これはまるで、


 締めつけの刑ね。





(心が)(心が)(心が)
 苦しいのに、甘く酔いしれてしまいそうになる。











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好きは、魔法だと思う。