足らない。全然足らない。


「好きだ」


どれだけ熱心に口説かれたって足らない。あんたと政宗の言葉には決定的な違いがある。あいつにあってあんたにないもの。それは、そう根本的な。





そんな甘い声で呼んでもだめ。あんたには足りないものがあるんだから。何が、ですって?ああ、もう。焦れったいったら。


「長曽我部、あんた」

「元親」

「ちかべ」

「元親って呼べよ」


うるせェよ。


「・・・・・・元親、あんたね、それじゃぁだめよ」

「なんで」

「なんでも」

「理由になってない」


珍しく食い下がってくる。そんなに必死なのか。それはそれで面白いけど。
でも残念ながら。


「私を落としたいならね」


背伸びをしても届かない長曽我部の顔に手を伸ばし、少しかさついている唇に指で触れた。途端、身体を強張らせる。その様子は見ていて飽きないものだった。
スッと唇をなぞりながら、続ける。



「もっと私を愛さなくちゃあ。」






扇情的
















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が悪女のようだ(笑)


20110128 再録