「骸さま!」 わたしはこの人と共にあるのだ、いつまでも。 この先も、ずっと。 |
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「どうしました、?」 「あのですね、さっき柿ぴにこれもらったので、おすそ分けです!」 いつものアジトで一人本を読んでいた骸さまに走り寄る。すると優しい骸さまは、決まって本を閉じて微笑みかけてくれることを、いつしかわたしは知ってしまった。だから、邪魔になるとはわかっていても、こうせずにはいられない。 何故って、わたしは骸さまの笑顔が何よりも好きだからということ以外に理由があるだろうか! 「ありがとうございます」 「えへへ」 柿ぴがくれたのは、板ちょこ。コンビニに行ったときに、ケンが無駄にいっぱい買い込んだらしく、たまたまその辺をふらふらしてたわたしにくれたのだ。 疲れたときには甘いものがいい。それなら、骸さまはいつもたくさん難しいいろんなことを考えていてお疲れだから、骸さまと一緒に食べよう!そう思ってわたしは骸さまのところへ来たのだ。 がさがさと包みを開けて、パキン、と折る。げ、あちゃー、全然半分に割れてくれなかった。でも、勿論大きいほうは骸さまにあげる。 「どーぞ!」 「僕は小さいほうで構いませんよ」 「だめです!骸さま、わたしなんかよりずっと頭使ってお疲れなんですから!」 「でも、お腹空いてるでしょう?」 「空いてないですよぅ!」 と云った途端にグーとお腹がなったら、説得力なんてなくなる。 「クフフ、無理しないで食べてください」 「でも!」 「じゃあ、僕からのお願いです。食べてください、」 にこり、と、わたしの大好きな笑顔で大きい方のちょこを差し出される。 お願いだなんて云われてしまったら断れるはずはないけれど、こればっかりは素直に頷けない。だって、骸さまを差し置いてわたしが大きいちょこを食べるだなんて! 「うー、やっぱりだめですよう骸さまー!」 「クフフ、それじゃあ、こうしましょう」 すると骸さまは、持っていたちょこをきれいに二つに割って、それからわたしの持っていた方のちょこも二つに割った。 そしてそれぞれを私に手渡してくれた。 「これで、半分ずつです」 もう一度骸さまはにこりと笑った。 ああそうだ、わたしはこの笑顔に一番弱い。 そうして、こんな骸さまの優しさが嬉しくて、ついついわたしも顔が綻ぶ。 「うふふ」 「なんですか?」 「いえ、すきだなぁと思いまして」 「ちょこが?」 「ちょこもだけど、それ以上に骸さまが、です!」 「嬉しいですね」 骸さまは、僕もですよ、と云ってくれた。 この瞬間が何よりも幸せに思える!わたしは世界一の幸せ者だ! 「骸さま、骸さま!」 「はい、?」 ちょこはずっと持っていたら溶けてしまうので、さっさと食べてしまった。お腹も心も満たされて浮かれたところで、わたしは云うのだ。 「ずっとお傍にいますからね」 この先何があろうとも。 だって、骸さまに拾われたときから、わたしの命は骸さまのものなのだから。 骸さまは、わたしの大好きな笑顔で、愛しい手のひらでわたしの頭をなでながら云ってくれた。 「僕もを離しませんよ」 嬉しくなって、わたしは骸さまに抱きついた。 絶対に離れることはないのだと信じていた 過 去 これからも一緒なのだと信じた 今 何も知らずにいたかったと、泣く、 近 い 未 来 決して離れないという誓いは、儚く崩れ去ることを、わたしはまだ知らなかった。 --------------------- 実は骸さまがかなり好きです。 |