「幸村。お前はいいね、真っ直ぐに育って」

「?真っ直ぐ、でござるか?」

私が土産に持ってきた団子を嬉しそうに頬張っていた幸村に、なんの前触れもなくそんなことを云えば、きょとんと眼を瞬かせた。犬のようだと心底思う。

幸村は真っ直ぐだ。私なんかとは違う。勿論政宗とも違う。多分私や政宗が幸村を気に入っているのは、自分にはない純粋な真っ直ぐさに惹かれてるからだろう。少なくとも私はそうだった。
周りの人間に虐げられた幼少時を共通している私と政宗。なんとも皮肉だ。それに比べて幸村は。

「お館様の傍で笑って過ごしてたわけよね」

「・・・どの?」

「ああ、なんて幸せ者なの」

お前のその純粋さ、いつか崩壊するのかしらね。

なんなら、私が壊してあげようか?






嫉妬















--------------------

羨ましいなんて云わないけれど。


20110128 再録