私が欲しかったもの。自分への自信。
私が喉から手が出るほど欲しくて、でもどんなに望んでも手に入れられなかったそれを彼は持っていた。
羨ましかった。だからこそ憧れ、そして少しだけ疎ましかった。
私は本当に欲しかった。自分に自信を持ちたかった。虚勢を張って笑う自分を作るのが辛くて仕方なかった。
けれど最早私にはそうする以外の道はなく、ただ嘘の自分を貫くしかなかった。
あまりに虚しく、悲しかった。
私だってあんな風に笑っていたかった。いつでも親友と一緒に馬鹿騒ぎしている彼は輝いていて、私の望んだものすべてを持っていた。
心から信頼する親友と、心からの笑顔と、そして親友たちと何より自分への自信。
呪われた私には永遠に手の届かないものばかりだ。


(まるであの一等星のように貴方は美しいの)


ましてや、こんな私が誰かに愛されるだなんて。


(ああ、貴方は知らないから。私の汚い部分を知らないから)


黙っていることと騙していることは、厳密には全く違う。しかし、私の場合その二つは同義だった。
云えない。云いたくない。
云ってしまえば、すべてを失うと思っていたから。


(だからそんな過ちを犯してしまう。私を、)


愛しているだなんて、そんな。






アーテンボローの憧れ





(呪いを理由に拒絶して)(だけど理由は告げないで)

(愛の代わりに皮肉をぶつけて)(傷付けて傷付いて)

(だからせめて自信が欲しかったの)
(貴方に釣り合いたかったの)











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私の世界は真っ赤に燃える。
貴方の炎に焼き尽くされる。


20110128 再録