普段あるものがなくなると無性に不安になったり違和感を覚えたりするものだ。人間心理である。
例えば化粧。普段完璧なまでにばっちり決めているのに、時間がなくて素っぴんのまま外に出るとそわそわする。まるで鎧を取り上げられた兵士のようだと昔友人に云ったことがあった。勿論殴られた。
例えばケータイ。暇さえあればいじっているのに、たまたま家に忘れたときは一日中挙動不審だ。まるで薬切れのジャンキーのようだと昔友人に云ったことがあった。勿論殴られた。

例えば、憎まれ口。


「…………。」


部屋に入ってきて終始無言とは一体どういう了見か。
ぐるぐるがんがんな頭で冷静に考える。ていうか何しに来たんだこいつ。
相変わらずその眼光は鋭い。が、いつもなら標準装備の悪態憎まれ口が武装解除されている。酷い違和感だった。逆に気になる。
訝しんだあたしの意図を察したのか、どっかりと椅子に座る三蔵はフンと鼻を鳴らした。


「いつまでも寝込んでんじゃねーよクソが」


てめぇ張り倒すぞ。

とんだ三蔵法師だ。慈悲の欠片もねぇ。
自然と左の頬が引きつる。が、我慢だあたし。今はまだ。

「……今夜あたり、熱は下がりそうよ」

お前への怒りという名の熱がな。

夜道の背後に気を付けろ。






病後のリハビリは重要です










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三蔵はつんでれだから、素直にお見舞いできないんだよ\(^O^)/
はちゃんと気付いてるから大丈夫^^


20100307