容姿端麗、才色兼備。
私に対する他人からの評価は概ねこんなとろだろう。自惚れではない。私はそう云われるだけの結果を残している。
両親の遺伝に感謝しつつ、私は自分の能力を最大限に高めることに努力を惜しまなかった。
勉強も、運動も、人間関係も。
かといって生真面目で融通の利かない人間ではなく、人との距離を量りながら、円滑に、それなりに砕けて。
苦痛ではなかった。
むしろ性格を作っていたわけではなかったので、ありのまま接していればその通りになったので楽しかった。
中学では過去最高と云われる成績を収め、有名私立の進学校の推薦をもらった。そして筆記テストで満点近い点数を取り勿論特待入学。
入学金も授業料も免除、制服代や教科書代まで免除だったのは驚いたけれど、さすが私立、と感心してしまった。
とはいえその分、成績はキープし続けなければペナルティがあると云う話なので手放しで喜ぶことも出来なかったけれど。
でもそれも、トップでい続ければいいことなので特に気にもしなかった。
私は、父さんに迷惑をかけたくなかった。
生きているだけで、本当は、とても迷惑なのかもしれないけれど。
けど、私が良い成績で良い子でいれば、周囲は父さんを評価してくれる。教育がいいのね、と云ってくれる。
それは父さんにとって良いことなはずだ。
迷惑な私が出来ることと云えば、そうやって父さんのために生きること。
5つ下の弟に対しても同じだ。
良いお姉さんでいればきっとあの子は喜んでくれる。
私は、私の家族のために何かしたかった。
けれど出来ることなんて限られている。
だから。
家族から母さんを奪ってしまった私が出来る、ほんの少しのことを。
私は最大の努力で、惜しまない。





vanitas

すべての始まり1





突風が吹いた。
今日はテスト前日なので、部活はなし。友達と学習館で勉強して、おしゃべりをしながら帰路についたところだった。
学校の校門を出ようとしていたとき、その風は吹いた。
つい少し前までは穏やかな春の陽気で、風は穏やかにしか吹いていなかったのに。
まるですべてを掻っ攫って行くかのような強い風が、吹いた。

「っうわぁっ!!?」

思わず両腕を顔の前で交差させて庇う。そうしないと、本当にどこかに吹き飛ばされてしまうような気がしたのだ。
そして、しばらくして漸く風が治まったようなのでゆっくりと顔を上げて、隣にいたはずの友達に声を掛けようとして―――

「・・・・・・・・・」

―――出来なかった。正確には、目に飛び込んできた光景に思考が停止して、それどころではなかった。友達の姿が見えなかったことも、忘れていた。
さっきまで私は学校にいて。
校門を出ようとしていたところで。
つまりはまだ学校の敷地内にいたわけで。
なのに。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

目の前には、金、金、金・・・金色が、いっぱい。
何これ。
どういうこと。
しかもあれは鎧?
でもあんな鎧見たことない。
歴史の中で、あんな鎧は登場しない。
それとも現代の鎧はああいうのが主流だとでも?
でも、今時鎧なんて身につけて戦う国はない。
というか。

「―――う・・・」

ここ、どこ?

「うわあぁぁあぁぁぁああぁッッ!!!!!!????」










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はじめまして?


20100314