ねぇ誰か、聴いて





 いつだって眠たそうな目も、
 やる気なさそうな授業態度も、
 サッカーだけは嬉々としてやる姿も、

 全部好きだよ、横山平馬。





「へーま」

「何」

「ちゅーしよっか」

「ん、じゃぁこっちこい」

「おー」


 勘違いしないでもらいたいのは、私と平馬は付き合っていないということだ。
 一緒に帰るし、手ぇ繋ぐし、キスもするけど、私たちは付き合っていないのだ。そう、決して。

 だって私の片想いなのだから。


「へーま」

「何だよ、おかしいぞ今日」

「うん、おかしくていいよ」

「はぁ?」

「私、すっごい、今壊れそうだし」


 嘘じゃないよ。
 平馬が好きすぎて、この気持ちがもどかしすぎておかしくて壊れそう。

 平馬。

 あのね、私はとてもあなたが好きなの。
 いますぐ抱きしめてキスして欲しい。
 私だけを見て欲しい。

 でも、叶わない願いでしょ?

 だってあなたは、


 ―――サッカーしか見えていないもの。










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平馬大好きー。
ケースケくんもそうだろうと思うけど、きっとこの二人はサッカーが恋人だと思うよ。